ベネッセパレットの介護食研究会
ベネッセパレットの介護食研究会

介護の基礎知識

きざみ食はどんなときに必要?導入時に気をつけるべきポイントは?

高齢になると体の機能が衰えてくるように、食べ物を噛んだり、飲み込んだりする機能も低下してきます。そこで、食事を細かくきざむことにより、食べる負担を軽減したのが「きざみ食」です。どのような状態になったときにきざみ食が必要になるのか、そのメリットやデメリット、導入する際の注意点まで詳しく解説します。

食材を刻んでいる様子

きざみ食は噛む力が弱くなってきた方のために、食事をきざんで食べやすくしたものです。きざみ食の特徴と、きざみ食が必要になるタイミング、導入する際に注意すべき点や、きざみ食作りのポイントまで解説します。 

目次index

1.きざみ食とはどんなもの?

「食べる」とは、食べ物を口に入れて、噛みながら唾液と混ぜてまとめて、のどの方に送り込み、飲み込むまでの運動を指します。加齢で口周りの動きが衰えてくると、「食べる」力もだんだん低下してきます。
きざみ食とは、噛む力が弱くなってきた方のために、通常の食事を細かくきざんで食べやすく工夫をした介護食の一種です。
具体的にどのようなものか、きざみ食の特徴をご紹介します。

・食材を細かくきざむ
介護施設や医療機関では、2㎝程度、5㎜から1㎝程度、2㎜程度とさまざまな大きさのきざみ食が提供されています。
・食材の食感を楽しめる
きざみ食は、食材をきざんで、あえてその形を残すように作る食事なので、食材の食感が失われずに残っています。そのため、味だけでなく食材による食感の違いなど食べる楽しみを感じていただきやすい食事といえます。

きざみ食はどんなときに必要?

何が原因で食事が進まないのか、食事以外の原因も含めて現在召し上がっている食事が、その方に合わなくなっていると感じたら、もっと食べやすい食事の形態の検討が必要になります。以下のようなご様子が続くようでしたら、きざみ食が必要になるタイミングです。

・残歯が少ない、入れ歯・義歯が合わなくなった
歯を失うと、食べ物を上手く噛むことができなくなります。また、入れ歯が合わず、噛み合わせが悪くなってくることもスムーズな食事をさまたげる原因になります。

・やわらかいものばかり食べる、かたいものを口から出してしまう
肉などのかたいものや、ごぼうなどの繊維の多いものを避けて、やわらかいものばかり食べる、噛み切れずに口から出してしまうといった状態は、噛む力が弱くなっているサインです。

・食事時間が長くなっている
噛む力が低下してくると食べ物をしっかり噛み砕くことができず、いつまでも噛んでいることがあります。今までより食事時間がかかるようになってきた時は、そしゃくの状態を確認してみましょう。

きざみ食導入時の注意点

施設での配膳の様子

きざみ食は、食事を細かくきざむことで、噛む負担を軽くするものですが、ばらばらしやすい形状でもあるので、まとまりよく作成することがとても大切です。また、きざみ食は基本的に、噛む力が弱くなってきた方向けの食事ですので、飲み込む機能が低下している方にはおすすめできません。きざみ食を上手く飲み込むことができるか、そしゃく機能だけでなく、むせがないか、飲み込みの状態も確認しましょう。

きざみ食のメリット

噛む力が衰えてくると、食べやすいからと、ついやわらかい食べ物ばかりを選んでしまい、栄養のバランスが崩れることも。きざみ食であれば、今まで避けていた食材も摂取できるようになり、栄養のバランスが取れた食事がしやすくなります。きざみ食の具体的なメリットをご紹介します。

・食感が残り、食欲を損ないにくい
きざみ食は、食事そのものの食感や色彩が残るため、ゼリー食やミキサー食に比べて、見た目や食感といった面からは美味しさを感じやすい食事になります。

・そしゃくの負担が減る 
噛む力が弱くなってきた方は、きざみ食にすることでそしゃくの回数が減り、楽に食事ができるようになります。噛むことに時間がかかると疲れてしまって、食事量が減ってしまう場合が多いですが、きざみ食にすることでしっかり栄養を摂ることができるようになります。

・噛めずに食べられなかった食品も食べることができる
噛むのが大変だからと避けていた食品も、細かくきざんでまとまりよく調理することで食べられるようになり、食事の楽しみがアップします。

きざみ食のデメリット

噛む力が弱くなってきた方のために、食事を細かくきざむだけで作れる、きざみ食。手軽で便利な反面、デメリットもあることを知っておきましょう。

・誤嚥のリスクがある  
食材によっては細かくきざんだ食材がうまくまとまらず、口の中で散らばることがあります。飲みこむ際に、のどで食材が散らばると、誤ってその食材が気管に入ってしまうこともあります。 

・食中毒のリスクがある  
きざみ食作りには、包丁・まな板などの調理器具の衛生管理がとても重要です。食中毒菌が付着しないよう細心の注意が必要です。

・調理の負担が大きい
安全に配慮して調理をするため、包丁・まな板・フードプロセッサーなどの器材を、料理や食材を変える都度、消毒・洗浄する必要があります。また何よりも細かくきざむ調理自体の負担も大きいです。

 「安全かつかんたんに盛付るだけの袋タイプ・完全調理済みきざみ食品の資料ダウンロードはこちら

2.きざみ食作りのポイント

刻まれた野菜

単に食材をきざむだけでは、安全なきざみ食にはなりません。食べやすさや安全面において注意したい点をご紹介します。

・食材をやわらかく調理する
ただ焼くよりも蒸し焼きに、煮物は弱火でじっくり煮込むなど、できるだけやわらかく調理することで食べやすくなります。

・とろみをつけてまとまりやすくする
きざみ食は、口の中でばらつきやすいため、誤嚥のリスクが高いと言われることがあります。そのリスクを避けるためには、きざんだ食材をまとまりよくすることが必要です。水溶き片栗粉や市販のとろみ剤などでとろみを付けて、まとまりがよくなるように工夫しましょう。

・かたい食材や繊維の多い食材は細かくきざむ
肉などのかたい食材や繊維の多い野菜類は噛みにくいので、なるべく、細かくきざみましょう。葉物野菜はなるべく葉先のやわらかい部分を使用するなどの工夫も大切です。

・調理器具の衛生管理の徹底
きざみ食作りでは、ひんぱんに包丁・まな板を使用します。入居者さま・患者さまを食中毒から守るため、これらの調理器具はしっかり消毒して、徹底した衛生管理を心がけましょう。また、完全調理済みのきざみ食などの活用を検討することで、安全面に配慮しつつ、調理工程の負担軽減を実現することが可能となります。

※記事掲載の写真・イラストは全てイメージです。

安全かつかんたんに盛付るだけの袋タイプ・完全調理済みきざみ食品の資料ダウンロード・試食サンプルはこちら
施設用資料をダウンロード 施設用試食サンプルを依頼
施設用資料をダウンロード 施設用試食サンプルを依頼

この記事の監修

言語聴覚士

坂藤 美智子

略歴 国立身体障害者リハビリテーション学院言語聴覚科卒業
   東京都リハビリテーション病院、医療法人三慶会指扇病院・指扇療養病院勤務を経て、㈱ベネッセスタイルケア サービス推進部に所属し、ホームからの声も反映した安全な製品づくりに携わっています。

施設・病院向け資料
ダウンロード
相談・
お問い合わせ