ベネッセパレットの介護食研究会
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高齢者の栄養

高齢者向け宅配弁当の選び方|施設導入の際のポイント

高齢者向け宅配弁当の選び方を解説。施設導入まで、内容・形態・コストのチェックポイントなどをご紹介します。

宅配弁当

年齢を重ねると、食事の準備が難しくなる方や、食が細くなる方が増えてきます。そんなときに便利なのが、高齢者向けの宅配弁当サービスです。最近では、健康に配慮したおいしいお弁当が手頃な価格で毎日届くサービスも充実しており、個人利用はもちろん、高齢者施設や病院などの法人でも導入が進んでいます。
この記事では、施設や病院などの法人の立場から見て役立つ宅配弁当の選び方を解説。宅配弁当を選ぶ際のチェックポイントや価格帯の特徴、保存方法の違いなどをご紹介します。

目次index

高齢者向け宅配弁当の選び方

高齢者向けの宅配弁当サービスは多岐にわたりますが、特に施設や法人として導入を検討する場合には、チェックしたい点がいくつかあります。ここでは、導入時に見落としがちなポイントも含め、選び方を紹介します。

選ぶ際の5つのチェックポイント

宅配弁当を導入する際には、利用者の健康や施設の運用を考慮して、以下の5つのポイントを確認することが重要です。

① 栄養バランスと持病への配慮がされているか
高齢者は加齢とともに食事量が減り、必要な栄養素が不足しやすくなるため、栄養バランスの良い食事を考えることが重要です。宅配弁当サービスを選ぶ際にも、管理栄養士などの専門家が献立を監修しているかなど、メニューへのこだわりや栄養価への配慮を確認するようにしましょう。

さらに、糖尿病や腎臓病などの持病に配慮した食事(エネルギー・たんぱく質・塩分調整)に対応しているかどうかも、法人においてサービスを選ぶ際の重要なポイントになります。こうした対応がなされていることで、利用者一人ひとりの健康状態に合わせた食事の提供が可能となります。加えて、食事を飽きずに楽しめるよう、日替わりや季節感を意識した献立があるかなど、メニューのバリエーションもチェックしましょう。

② 噛む力・飲み込む力に応じた形態の食事があるか
高齢者の中には、そしゃく・嚥下機能の低下により、通常の食事をしづらい方もいます。通常食以外に嚥下機能に合わせたソフト食やムース食などを用意しているサービスであれば、誤嚥リスクを減らすことができ、厨房での負担の軽減にもつながります。導入前に通常食以外のお弁当の種類を確認しておくと安心です。

③ 保存形態や提供方法が施設の運用に合っているか
宅配弁当には、冷蔵・冷凍・常温などの保存形態があります。冷蔵弁当は比較的短時間で加熱でき、そのまま提供しやすい点が特徴です。冷凍弁当は長期保存に適しており、必要な分だけ解凍して使えるため、食数の変動がある施設には便利です。
常温弁当は調理直後に届けられることが多いため、施設側も適切なタイミングで提供することができます。保存形態を踏まえたうえで、施設の環境設備や提供スタイルに適切な宅配弁当を選びましょう。

④価格帯とコストパフォーマンスが適正か
宅配弁当の価格帯は1食あたり300~500円のリーズナブルなものから、800円以上の高級なものまで幅広くそろっています。価格だけでなく、品質や内容量、調理・提供の手間を省けるかどうか、衛生面での安心感など、全体的なコストパフォーマンスにも着目しましょう。

特に施設での導入では、調理・洗浄の手間が減ることで業務負担や人件費が軽減される可能性もあります。そのため、長期的な運用コストも視野に入れて選ぶことが重要です。

⑤対応エリアや注文条件が施設の運用に合っているか
宅配弁当サービスは、提供元によって対応エリアが限られていることもあり、まずは施設の所在地がそのサービスの配送対象になっているかを確認しましょう。あわせて、注文単位が「1回ごと」なのか、「週単位」や「定期便」といった継続的なサービスなのか、契約内容も重要なチェックポイントになります。また、キャンセルや変更がいつまでできるのかも重要なポイント。急な変更が必要になった時に、どこまで対応してもらえるのかによっても注文単位は異なってきます。施設の利用状況や食数の変動に合わせて、柔軟に注文が可能なサービスを選ぶと運用しやすくなります。

また、配送料の有無や金額、無料になる条件(例:一定食数以上の注文で無料など)も忘れずに確認しましょう。注文条件と一緒に総コストを事前に把握しておくことが大切です。

施設導入や法人契約の可否も重要

宅配弁当は「個人向け」と「法人向け」でサービス形態が異なる場合があります。まずは法人契約の有無について確認しましょう。法人契約に対応していれば、請求書払いなどの事務処理がしやすく、納品スケジュールや数量調整の柔軟性も期待できます。
また、導入の前には、お試し注文やトライアルの詳細確認もチェックしておきましょう。実際に利用者に試食してもらい、味・量・食べやすさについての感想をヒアリングすることで、導入後のミスマッチを防ぐことができます。
さらに、法人契約の事例として、他の施設や法人での導入実績も確認しておくと安心です。導入事例が豊富なサービスであれば、施設特有のニーズにも対応してもらいやすくなります。

【まとめ】高齢者向け宅配弁当は、家庭と現場の強い味方

高齢者向け宅配弁当は、単に食事を届けるだけではなく、「安全・安心・満足感」を提供するサービスです。食事を摂る高齢者本人だけでなく、介護を担う家族や高齢者施設のスタッフにとってもこうしたサービスを利用することで、大きな支えとなります。
特に施設では、調理業務の簡素化や衛生管理のしやすさ、安定した供給体制の確保など、業務効率の観点から検討する価値は大いにあるでしょう。
導入の際は、栄養・安全・柔軟性・コストといった多角的な視点で比較検討し、実際の提供現場や利用者の状態に合ったサービスを選ぶことが大切です。

施設でも、宅配弁当は高齢者の「日々の楽しみ」を支える、頼れるパートナーといえるでしょう。

この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

※記事掲載のイラスト・写真はすべてイメージです。

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