ベネッセパレットの介護食研究会
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介護の基礎知識

きざみ食のリスクと課題 続けるべきか廃止すべきか

きざみ食は高齢者のそしゃく障害に対応する食事形態として広く利用されていますが、誤嚥や栄養バランスの問題が指摘されています。きざみ食のリスクと、それに代わる食事形態を詳しく解説します。

きざみ食材

そしゃくに対応する食事として提供されているのが「きざみ食」です。しかし、以前から「きざみ食」による誤嚥や栄養摂取の問題が取り沙汰されており、その継続や廃止を検討する声が上がっています。きざみ食の実態とリスク、そしてその代替案をご紹介します。

目次index

1.そもそもきざみ食とは?

きざみ食の特徴

きざみ食とは、食材を細かくきざみ、食べやすくした食事形態を指します。一般的に飲みこむ力はあるがそしゃく力が弱った方に対して提供されます。そしゃく力の程度によって、大きいものであれば2cmから、細かいもの であればみじん切りまで、きざむ大きさを変えることで幅広く対応することができます。
きざみ食は通常の食事を細かくきざむため、味そのものを大きく変えることなく、食事の楽しみを損なわずに提供できるのもポイントです。

きざみ食のリスク 

そしゃく力だけでなく、嚥下機能が低下している場合、食材が細かく切られていることがかえってリスクになることがあります。
また、食材を細かくきざむことによる衛生管理の難しさもリスクとしてあげられます。調理器具による二次汚染の危険だけでなく、切断面の多さにおける酸化や細菌の増殖なども懸念されており、きざみ食の保存におけるリスクは調理後3時間を超えると顕著になるとも言われています。
さらに食材を一つひとつ細かくきざむ作業は調理者への負担が大きく、特に大量の食材を扱う施設では労働負担の増加も問題の一つとしてあげられています。

2.きざみ食を続ける場合の注意点 

リスクがあるとはいえ、きざみ食を完全に廃止するのも難しいという場合、できるだけ誤嚥リスクを減らすことが重要です。きざみ食では、細かくきざんだ食材が口内で散らばりやすいため、とろみ剤 を追加してまとまりを持たせるのも有効です。また、調理法を「焼く」から「蒸す」「煮る」に変更することで、パサつきをふせぎ、飲みこみやすくするなどの工夫も考えられます。

きざみ食の必要性

ムース食やペースト食は、食事に水分を加えてミキサーにかけて作成することが多く、味や見た目の問題から食欲が減退してしまう場合があります。きざみ食は、通常の食事をきざんで作るので、もとの食事が想像しやすく、人によってはムース食などよりきざみ食を希望される場合もあります。また、費用面などの問題から、ムース食などの提供が難しい場合もあるでしょう。そうした観点から、きざみ食の提供が必要となることもあります。

3.きざみ食の代替案 

きざみ食の代替となる食事形態について、その特徴をご紹介します。

軟菜食、ソフト・ペースト食

介護食イメージ

そしゃく嚥下機能の低下した方への食事提供を考える際に活用できるのが嚥下食ピラミッド の考え方です。またきざみ食に代わる食事形態として、軟菜食やペースト食などが有力な選択肢となります。
※嚥下食ピラミッドについて、より詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

・軟菜食
軟菜食は、食材をやわらかく調理することでそしゃく嚥下を助ける食事形態です。例えば、野菜を蒸したり煮たりしてやわらかくしたり、肉を薄切りにして煮込みや蒸し料理にすることで、噛む力が弱くなった方でも安全に食べられる食事が提供できます。日本栄養士会の研究では、軟菜食がきざみ食と比べて誤嚥リスクを大幅に減少させることも確認されています 。
※軟菜食について、より詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

・ソフト食・ペースト食
ペースト食は、食材をペースト状にすることで、そしゃく・嚥下をしやすくした食事です。食材をすりつぶすことで滑らかさもたせ 、噛む力も飲みこむ力も最小限で済むため、誤嚥のリスクが大幅に低減できます。一方で、見た目が単調になりやすく、食欲低下につながる恐れもあります。その点ソフト食では、元の料理の形状に成型しなおすなどで、食べる楽しみを増進するなどの工夫もされています。
※ペースト食について、より詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

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こうした代替案も考慮しながら、どういった食事形態が望ましいかを検討することが重要です。高齢者やそしゃく嚥下障害のある方に、安全な食事環境の提供だけでなく、食の楽しみも踏まえた食事提供を行っていくことで QOLの向上にもつながっていきます。

※記事掲載のイラスト・写真はすべてイメージです。

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この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

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