ベネッセパレットの介護食研究会
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介護の基礎知識

見た目にもおいしい!ミキサー食の盛り付け例を紹介!

ミキサー食は、そしゃく 嚥下機能が弱った方を対象とした食事形態の1つです。ミキサー食は通常食とは異なり、見た目が同じになりがちで、食欲がわきづらいという難点も......。ミキサー食でもおいしそうに見える盛り付けについて、例をご紹介します。

ミキサー食

食べる力が弱ってきても、できる限り口から食事を摂ることができれば、生活の質は維持できます。そこで、そしゃく嚥下機能が弱ってきた方に対して提供される食形態の1つがミキサー食です。ミキサー食は、料理や食材をミキサーにかけて滑らかにしているため、そしゃく嚥下機能が弱ってきた方でも安心して楽しめます。

ミキサー食は出来上がりに食材本来の形が残らず、色も均一化するため、見た目のおいしさが損なわれがちです。そこでミキサー食の見た目を変える盛り付け方の工夫をご紹介します。ぜひミキサー食を提供する際に試してみてください。

目次index

1.ミキサー食とは

介護に必要な食形態は、召し上がる方の食べる力 に合わせてかたさ や大きさなどを変えるため、その種類は大きく5つに分かれます。

1つ目は常食。「普通食」「通常食」とも呼ばれ、消化機能やそしゃく嚥下機能に問題がない方に向けた食形態です。

2つ目は軟菜食で、歯茎や舌で潰せるくらいに食材を軟らかくすることで、歯が弱った方やそしゃく嚥下機能が弱った方でも食べやすくなっています。

3つ目はきざみ食。食材を5mm〜1cm程度に細かくきざみ、食べやすくした食形態です。 

4つ目はソフト、ムース食。常食をすり潰してゲル化剤やゼラチンを用いて成型したもので、そしゃく嚥下機能が弱ってきた方に向けた食形態です。

そして5つ目がミキサー食。ミキサー食は、水分を加えながら食材をミキサーにかけてペースト状にしたもので、消化機能やそしゃく嚥下機能が弱った方に向けた食形態です。

2.ミキサー食のデメリット

ミキサー食とムース食は同じ食形態のように思われがちですが、見た目が大きく異なります。ムース食は常食をミキサーにかけてすり潰した後に、魚や肉・野菜の形に再度成型するため、手間はかかりますが常食に近い見た目で提供することが可能です。

一方ミキサー食は、食材をペースト状にしているため、出来上がった見た目から何の料理かの判断が難しく、食欲がわきづらくなってしまうのです。

ミキサー食についてより詳しいご説明は、以下の記事をご参照ください。
ミキサー食とは? 作り方のポイントや注意点を解説

3.ミキサー食の作り方&盛り付けポイント

ミキサー食であっても、召し上がる方の食欲がわくようにするには、提供時の作り方や盛り付け方などを工夫する必要があります。

ポイントは 5つあります。
1.    ミキサーは食材ごとにかける
2.    行事食も取り入れる
3.    食器にこだわる
4.    仕上げに調味料をかける
5.    ミキサー食にイラストを描く

ポイント1.ミキサーは食材ごとにかける

ミキサー食は料理ごとに色が変わらず、どれも同じような見た目になってしまいがち。そこで、少し手間や時間はかかりますが、付け合わせなどは別にミキサーをかけるだけでも宮目 に大きな変化があります。例えばハンバーグの場合、ハンバーグや付け合わせのブロッコリー・ニンジンを、すべて一度にミキサーにかけてしまうと、味が混ざるうえ、それぞれの色味は損なわれ、すべて茶色に。

一方で、まずハンバーグ、次に付け合わせのブロッコリー、最後にニンジンというように、食材ごとに別々にミキサーにかけることで、ブロッコリーの緑や人参の鮮やかなオレンジが盛り付けた際も残ります。

なお、1つひとつの食材をミキサーにかける場合、ミキサー内に食材の色や匂いを残さないよう、その都度丁寧に洗うことを忘れないことも大事なポイントです。

ポイント2.行事食も取り入れる

ポイント2つ目は行事食を取り入れることです。ミキサー食の場合、すべてミキサーにかけてしまうためワンパターンになりがち。変化をつけるために、行事食は有効です。

例えばひな祭りやクリスマスなど、パプリカやさくらでんぶなどのカラフルな食材を用いる場合は、ミキサーにかけた後でも色に変化がつくので、おいしそうな見た目にできます。

ポイント3.食器にこだわる

3つ目のポイントは器にこだわること。料理が単色になりがちなので、色や形に変化がつくように、器の形や色にバリエーションを持たせてみてください。

例えば、茶色や黒色の食器ではなく、黄色やオレンジ色などの暖色系の食器を用いたり、可愛らしい柄やデザインの食器を用いると、料理全体が華やかに見えるのでおすすめです。

ポイント4.仕上げに調味料をかける

ポイントの4つ目は盛り付けた後の仕上げに調味料をかけることです。例えば上の写真のように、『オムライス』のミキサー食にケチャップをかけるといった工夫もおすすめです。

調味料をかけることで料理全体に色の変化がつくだけでなく、香りや食味にも変化がつきます。

ポイント5.ミキサー食にイラストを描く

最後のポイントは、メインのミキサー食の上に、色の異なる食材でイラストを描くこと。ハンバーグのミキサー食に、煮たニンジンをミキサーにかけたもので、お花などの絵を描くと、見た目が可愛く食べるのも楽しくなります。

スポイトを用いたり、クッキングシートを丸めて簡易的な絞り袋を作ると、うまく描けます。なお、イラストを描くのに使うミキサー食は、サラサラしすぎていると滲んだり流れたりするため、やや粘度を強くしておくと描きやすいです。

この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

※写真・イラストは全てイメージです。

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