ベネッセパレットの介護食研究会
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介護の基礎知識

【ミキサーを使った嚥下食】初めてでも大丈夫!作り方・食材の選び方・コツまとめ

そしゃく嚥下機能が低下しても食べやすい「ミキサー食」の作り方やコツを紹介。食材の選び方、濃度調整、栄養や彩りの工夫まで、家庭や施設で簡単に作れるポイントをまとめています。

そしゃく嚥下機能の低下によって、食材のかたさや大きさが負担となり、食事が難しくなることがあります。このとき食形態を調整することで、安全で食べやすくなります。特にミキサーは食材をなめらかに整えられるため、よく用いられる調理器具です。

本記事では、初めての方向けにミキサー食の特徴や学会分類、作り方、食材の選び方、濃度・栄養・彩りの工夫などをご紹介。家庭や施設で作る際のポイントも合わせてお伝えします。

目次index

ミキサーを使った嚥下食の特徴

ミキサーを使った嚥下食は流動性が高く、そしゃくが難しい方でも食べやすい形態です。食材を均一に整えられるため、嚥下時の負担も軽減できます。

メリット

●粒が喉に残りにくく、誤嚥リスクを軽減できる
●肉・魚・野菜など、複数の食材を均一にまとめられる

注意点

●水分量の調整が難しいため、仕上がりが水っぽくなったり、逆に水分が足りず重くなりすぎたりする
●食材によっては加熱や下処理に時間がかかる場合がある
●味が単調になりやすいため、出汁や香りで工夫することが必要

学会分類2021における位置づけ

日本摂食嚥下リハビリテーション学会分類2021では、状態に応じた食形態を示しており、ミキサー食は嚥下調整食コード2(2‑1/2‑2)に分類されます。

●コード2‑1(均質タイプ):完全になめらかで粒がないミキサー食
●コード2‑2(粒ありタイプ):小さな粒が残る程度のミキサー食

コード2には、ミキサー食のほかに、ピューレやペースト食も含まれます。これらは全てスプーンを用いて食べることができるため、そしゃく力が低下した方でも口の中でまとまりやすく、誤嚥のリスクを抑えられる点が特徴です。

さらに嚥下食の分類について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
嚥下(えんげ)食とは? その必要性と分類について
嚥下食ピラミッドの概要と各レベルの分類・詳細
嚥下食の分類まとめ|学会基準と実務での活用

「ミキサー食」と「ペースト食」の違い

ミキサー食は、学会の定義では2‑1/2‑2とも含まれますが、粒ありタイプ(コード2‑2)が「ミキサー食」と呼ばれることが多く、粒なしの均質タイプは「ペースト食」と呼ばれます。

詳しく知りたい方は「ミキサー食とペースト食の違いとは? 特徴・作り方・用途のポイント」をご覧ください。

初めてでもできる!ミキサーで作る嚥下食の基本手順

ミキサー食を作る際の基本は、食材をやわらかくすることと、水分量の調整です。ここでは、初めてでも取り組みやすいよう、4つの手順に分けてご紹介します。

①食材をやわらかく加熱する

煮る・蒸すなどの調理方法で、食材が簡単につぶせるくらいやわらかくなるまで加熱します。特に、根菜や肉は火の通りを丁寧に確認しましょう。加熱が不十分だと、ざらつきの原因になります。

②ミキサーで撹拌する

温かい状態のほうが撹拌(かくはん)しやすい食材も多く、冷めるとかたまりやすい傾向があります。水分は最初から多く入れすぎず、少量ずつ加えてなめらかさを調整しましょう。

③濃度と水分量を整える

食材の状態を確認しながら、必要に応じて出汁やスープを少しずつ加え、なめらかさと濃度を整えます。必要に応じて市販のとろみ剤を使用し調整しましょう。

④ 盛り付け

温度や香りを整え、盛り付けにも配慮して提供すると、食欲増進につながります。器の色や形にバリエーションを持たせると料理の印象が大きく変わります。さらにメインのミキサー食にペーストした野菜などの鮮やかな彩りを添えることで、より一層食欲をそそります。

さらに詳しい作り方や調理のポイントは、以下の記事も参考にしてください。
ミキサー食とは?作り方のポイントや注意点を解説
手作りできる嚥下食献立|家庭でもできる段階別工夫と調理のヒント
見た目にもおいしい!ミキサー食の盛り付け例を紹介!

ミキサーの選び方

用途や調理量、出力に応じて適したミキサーを選ぶことが、なめらかな嚥下食を作るポイントです。

家庭用ミキサー

少量調理向きで扱いやすく、片付けも簡単です。少量の調理であればミキサーの代わりに、鍋などで直接利用できるハンドブレンダーを使うとより手軽に扱えます。

業務用ミキサー

大量調理に適し、食材をよりなめらかに撹拌できます。ただし、サイズが比較的大きいため、設置スペースの確保を考えることが必要です。施設や病院では人数に応じて選びましょう。

選ぶ際のポイント

容量:家庭用は0.5〜1 L程度。1人分は約200 ml程度。計算する際の必要量の目安です。
出力(ワット数):家庭用は100~900W程度、業務用は~12,000Wと家庭用に比べ幅広くより高出力なものが多いです。生野菜や氷を粉砕する程度であれば300W程度でも十分ですが、かたい食材や大量調理を行う場合は、業務用の高出力ミキサーが適しています。出力が上がれば、力も強くなる一方、音も大きくなる傾向にあります。
使いやすさ・手入れ:部品の有無や、洗浄の際にどこまで分解できるかなど、調理時や手入れでの扱いについて確認し、毎日の負担にならないものを選びます。

ミキサーに向く食材・向かない食材の見分け方

ミキサーでなめらかにしやすいかは、食材のやわらかさや筋・皮の有無、繊維質の量で判断します。

ミキサーに向く食材

やわらかく、筋や皮が少ないもの(例:かぼちゃ、白身魚)。根菜も十分にやわらかく煮れば撹拌しやすくなります。

ミキサーに向かない食材

筋や皮、繊維質が多いもの(例:ごぼう、れんこん、鶏もも肉の皮付き)。かたい根菜や繊維の多い葉物は、ダマになりやすく離水の原因になるため、下処理や刻み方の工夫が必要です。

さらに詳しい食材例や調理のコツは、「ミキサー食とは?作り方のポイントや注意点を解説」をご覧ください。

食材別!ミキサーで作る嚥下食のコツ

食材ごとに特徴に合わせて調理や撹拌の方法を工夫すると、よりなめらかで食べやすい嚥下食に仕上がります。

ご飯:炊く際に水分を多めにするとよりなめらかにしやすくなります。炊いた後は出汁やスープでのばし、温かいうちに撹拌するとさらになめらかになります。
●野菜:根菜はやわらかく煮てから撹拌してください。繊維質は断ち切るように処理をするとなめらかになります。
●肉:筋や脂肪を取り除き、やわらかく煮込むことで扱いやすくなります。
●魚:骨や皮を丁寧に取り除き、下処理で臭みを消すと食べやすくなります。出汁を加えると風味が増しておいしく仕上がります。

とろみや粘度はどう決める?失敗しない濃さの目安

嚥下食のとろみや粘度は、対象者の嚥下力に合わせて調整することが重要です。濃度が薄すぎると誤嚥のリスクが高まり、濃すぎるとそしゃくや飲み込みが困難になります。

とろみの付け方

●出汁やスープで少しずつ伸ばし、スプーンですくったときに口の中でまとまりやすくなるように調整します。
●目安としては、スプーンから垂らした雫がすぐ広がるのではなく、跡が残る程度のポタージュ状が目安です。
●粘度は時間経過で変化することがあるため、提供直前に再確認します。

学会分類(2021)では、とろみの程度を3段階に分けています。
詳しくは「嚥下(えんげ)食 とは? その必要性と分類について」をご覧ください。

ミキサーで作る嚥下食の栄養・彩りの工夫  

ミキサー食でも栄養や彩りを工夫することで、食欲を刺激し、満足度の高い食事を提供することがきます。

栄養を補う工夫

●    乳製品や油脂でカロリー補給
●    粉ミルクやプロテインでタンパク質を強化
●    ゼリーやスープで水分補給も同時に

彩り・盛り付け・味つけ

●かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜を活用して彩りを添える
●香辛料や出汁を活用して風味をアップ

さらにミキサー食の盛り付け方について知りたい方は「見た目にもおいしい!ミキサー食の盛り付け例を紹介!」をご覧ください。

【まとめ】ミキサー食は小さな工夫で食べやすく、栄養も

ミキサー食は、固形物が食べにくい方でも食事を楽しめる、なめらかな食事です。家庭では少量から作れ、施設や病院では大量調理にも対応できます。食材の選び方や加熱、濃度の調整、盛り付けなど、ちょっとした工夫で食べやすく、栄養を補いやすくなります。今日からおいしいミキサー食作りに挑戦してみてください。

※記事掲載のイラスト・写真はすべてイメージです。

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この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

【参考文献】
日本摂食嚥下リハビリテーション学会|嚥下調整食分類 2021
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf

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