ベネッセパレットの介護食研究会
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高齢者の栄養

ミキサー食が高齢者の食事に取り入れられる理由と作り方、注意点

ミキサー食は、そしゃく力や飲み込む力が低下した高齢者などに取り入れられる食事形態です。本記事では、ミキサー食が高齢者の食事に取り入れられる理由やペースト食との違い、基本的な作り方、取り入れる際の工夫や注意点を解説します。

ミキサー食は、やわらかく調理した食材をミキサーで撹拌(かくはん)し、食品がなめらかで、口の中でバラバラにならずまとまりやすい状態に仕上げた食事です。加齢に伴い、そしゃく力や飲み込む力が低下すると、これまでの食事が食べにくくなることも少なくありません。そのような場合に、食材のやわらかさや形状を調整した食形態として、ミキサー食が選ばれることがあります。

本記事では、ミキサー食が高齢者の食事に取り入れられる理由やペースト食との違い、基本的な作り方、取り入れる際の工夫や注意点について解説します。

目次index

ミキサー食が高齢者の食事で取り入れられる理由

高齢になると、口腔機能や嚥下機能にさまざまな変化が生じます。また、服用している薬や基礎疾患の影響によって、食べ物を飲み込みにくくなる場合もあります。こうした課題を補い、日々の食事を支えるのがミキサー食の役割です。ここでは、高齢者の食事にミキサー食が取り入れられる具体的な理由について解説します。

そしゃく力・飲み込む力の変化

食べにくさの背景には、次のような要因があります。

・加齢による口腔・嚥下機能の変化

加齢に伴い、舌の運動機能やそしゃく、唾液分泌などの口腔機能が低下することがあります。あわせて、嚥下に関わる筋肉の働きが弱くなるため、飲み込みにくさを自覚するような場面も見られます。

・服用している薬の影響

高齢者の中には日常的に複数の薬を服用している場合があります。薬の作用や副作用により眠気や口腔乾燥、舌や顎のそしゃく力の低下などが見られ、嚥下機能に影響を及ぼすことがあります。

・摂食嚥下障害をきたす疾患

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経・筋疾患などにより、食べ物を飲み込みにくくなることがあります。

食べにくさに合わせた食形態の調整

食べ物を口腔内でまとめにくくなったり、飲み込みにくくなったりする場合には、ミキサーなどを用いて食材のやわらかさや形状を調整することで食べやすく仕上げる工夫が必要です。

ミキサー食は、やわらかく調理した食材をミキサーで撹拌し、食品がなめらかで、口の中でバラバラにならずまとまりやすい状態に整えた食事形態です。そしゃく力や飲み込む力が低下している場合に取り入れられやすいとされています。

ミキサー食について理解を深めるなら、摂食・嚥下の基本的な流れや食形態の考え方を知っておくことも大切です。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
嚥下調整食とは? 医療・介護現場で役立つ段階別食形態の基礎知識

ミキサー食とペースト食の違い

ミキサー食はペースト食と混同されがちで、どちらも食材をなめらかな状態に整える点は共通していますが、仕上がりのなめらかさや均一性に違いがあります。

ミキサー食は、やわらかく調理した食材をミキサーで撹拌して整えた食事です。基本的にはなめらかな状態に仕上げますが、調理方法や食材によってはやわらかい食塊が残る場合があります。一方、ペースト食は、裏ごしなどを行い、食塊や繊維が残らないよう、より均一でなめらかな状態に整えた食形態です。

なお、こうしたなめらかな食形態は、一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会が示す「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(学会分類2021)では「嚥下調整食2(コード2)」に相当する食形態とされています。

ミキサー食とペースト食をより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ミキサー食とペースト食の違いとは? 特徴・作り方・用途のポイント

嚥下食の分類や学会基準については、以下の記事で解説しています。
嚥下食の分類まとめ|学会基準と実務での活用

ミキサー食の基本的な作り方

ミキサー食は、ご家庭でも作ることができます。基本的な手順は次のとおりです。
1.食材をミキサーにかけやすい大きさに切る
2.食材を十分にやわらかく加熱する
3.出汁やスープを加えてミキサーで撹拌する

加熱の際は撹拌がスムーズになるよう、食塊が残らないほどやわらかく仕上げるのがポイントです。ミキサーにかける際は、出汁などの水分量を少しずつ加えながら調整します。口の中でまとまりやすく、飲み込みやすいとろみの状態に整えるのが理想的です。

基本的な食材の選び方や調理のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【ミキサーを使った嚥下食】初めてでも大丈夫!作り方・食材の選び方・コツまとめ

ミキサー食のレシピ例

ミキサー食は、家庭料理をベースに形態を調整することで取り入れることができます。肉料理や魚料理、野菜料理なども、やわらかく調理した後、ミキサーで撹拌することでミキサー食に整えることができます。

ミキサー食として取り入れやすい料理例や献立の工夫については、以下の記事で紹介しています。
ミキサー食の人気おすすめレシピ!家庭・施設で簡単に作れる肉・魚・野菜・デザートをご紹介

高齢者が食べやすいミキサー食の工夫

食事にミキサー食を取り入れる場合は、見た目や食べやすさへの配慮も欠かせません。特に高齢者の食事では、食べやすさだけでなく食事への意欲にも配慮することが重要です。

ミキサー食は食材を撹拌するため、料理の見た目が判別しづらくなる場合があります。食材ごとにミキサーにかけ、色が混ざらないようにしたり、盛り付ける器を工夫したりすることで、単調になりがちな見た目に変化をつけることができます。

また、食べ慣れた料理をベースにミキサー食を取り入れることで、なじみのある味として食が進みやすくなります。特に、煮物やシチューなどはミキサーにかけても風味が損なわれにくく、整えやすい料理です。

食べやすさは温度によっても変わることがあります。温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく提供することで、少量ずつでもゆっくりと召し上がりやすくなります。また、食事介助の際の一口量を調整することで 食べやすさをサポートすることもできます。

ミキサー食の注意点と対策

ミキサー食を取り入れる際には、注意点もあります。ここではポイントと対策について解説します。

栄養不足に注意するポイント

ミキサー食は水分を加えて撹拌するため、料理全体における食材の割合が少なくなり、栄養素の密度が下がることがあります。また、水分量が増えることで量が多く感じられ、食べきれずに食事量が減る場合もあります。その結果、エネルギーやたんぱく質が不足することがあります。栄養不足を防ぐためには、栄養量を意識した食材の組み合わせや調整が必要になります。

ミキサー食で栄養不足を防ぐための考え方は、以下の記事で解説しています。
ミキサー食はカロリー不足になりがち?栄養管理で押さえるべきポイント

また、高齢者では身体的特徴や食習慣の影響によって低栄養が起こりやすくなることがあります。ミキサー食を取り入れる場合も、高齢者の低栄養や栄養管理について理解しておくことが大切です。
以下の記事で詳しく解説しています。
高齢者の低栄養を防ぐ 栄養管理のポイント

ミキサー食が適さない場合がある

ミキサー食はすべての方に必ず適しているわけではありません。嚥下機能の状態によっては、ミキサー食でも飲み込みにくいケースがあるため、召し上がる様子や体調の変化を確認しながら、ムース食など別の食形態に切り替えることを検討しましょう。

ミキサー食で起こりやすい課題や対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
ミキサー食のデメリットとは?栄養不足・誤嚥リスクと対策を解説

市販のミキサー食の特徴と活用法

市販のミキサー食では、冷凍やレトルトなど、さまざまなタイプがあります。これらは、栄養量ややわらかさが適切に調整されているため、調理の負担を軽減できます。在宅介護や高齢者施設では手作りと市販品の併用も一般的です。その時々の体調や生活状況に合わせて市販品を活用することで、食事準備を無理なく続けられます。

市販の嚥下食や宅配サービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
通販で手軽に始める嚥下食・介護食!冷凍・レトルト・市販商品の選び方と活用法
嚥下食の宅配サービスとは? 施設や病院で広がる新しい食事支援のかたち

【まとめ】ミキサー食を考えるときに大切なこと

ミキサー食は、そしゃく力や飲み込む力が低下したときに取り入れられる食事形態の一つです。食材を撹拌してなめらかに整えることで、召し上がりやすくなります。

一方で、食べやすさだけでなく、栄養面や食形態が召し上がる方の状態に合っているかどうかにも注意が必要です。場合によっては、体調や嚥下状態に応じて食事形態を見直すことも求められます。手作りと市販品を併用しながら、無理なく続けられる食事環境を整えていきましょう。

※記事中の写真・イラストは全てイメージです。

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この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

【参考文献】
日本摂食嚥下リハビリテーション学会|嚥下調整食分類 2021

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