ベネッセパレットの介護食研究会
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介護の基礎知識

ミキサー食とムース食の違いとは? 嚥下状態に合わせた選び方や調理方法をわかりやすく解説

ミキサー食とムース食の違いや特徴をわかりやすく解説。嚥下状態に応じた選び方や調理方法、ミキサー食からムース食へ段階的に切り替える際の目安も紹介します。

ミキサー食とムース食は、どちらもそしゃく・嚥下(えんげ)に配慮した食事形態ですが、目的や想定される口腔内の動きには違いがあります。

本記事では、ミキサー食とムース食の違いを整理し、そしゃく・嚥下状態に応じた適切な選び方や調理の考え方について解説します。

目次index

ミキサー食とムース食の違い

一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会が提唱する「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021」(以下、「学会分類2021」)では、ミキサー食は主にコード2相当、ムース食は主にコード3相当として扱われます。

ミキサー食の特徴

ミキサー食は、加熱した食材をミキサーにかけ、スプーンですくって口に運べるやわらかさに仕上げた食事です。目安としてはポタージュ状で、スプーンですくった時に形がゆっくり広がる程度のとろみが求められます。

粒は完全に残さない場合もありますが、嚥下状態に応じて小さな粒を残すこともあります(※均質なポタージュ状のものはコード2-1、わずかな不均質な粒を含むものはコード2-2に分類)。

とろみを含めた粘度を調整し、単になめらかにするだけでなく、喉ごし良くスムーズに飲み込みやすい性状に整えることがポイントです。

コード2やミキサー食の特徴、取り入れる目安については、以下の記事も参考にしてください。
嚥下調整食2(コード2)とは? 2-1/2-2の違い・献立の考え方・形態調整のポイント
ミキサー食とは?作り方のポイントや注意点を解説

ムース食の特徴

ムース食は、食材をミキサーで均質化した後、ゲル化剤などを用いてかため、一定の形を保つように調整した食事です。型を使って成形できるため、元の料理に近い見た目を再現することができます。

スプーンですくった形は保たれますが、舌と口蓋(こうがい)の間で軽く押しつぶすことでなめらかに広がるため、口腔内でまとめやすい性状になります。このような条件を満たすムース食は、コード3に含まれる食事形態の一例と位置づけられます。

コード3やムース食の特徴、取り入れる目安については、以下の記事も参考にしてください。
嚥下食3(コード3)とは?嚥下調整食の分類と食事例&調理ポイント
ムース食とは?作り方のポイントや注意点を解説

注意:「ムース状」と「ムース食」の違い

「ムース状」とは、学会分類2021のコード1に含まれる性状で、均質でなめらかなゼリー・プリン状を指します。口腔内でまとめたり噛んだりすることを必要とせず、そのまま飲み込めることを想定しています。

一方、現場で使われる「ムース食」は、成形され、舌と口蓋で押しつぶすことを前提とした食事形態を指すことが一般的で、上述の「ムース状」とは異なる場合があります。そのため、名称だけで判断せず、実際の形態や目的を確認することが重要です。

さらに嚥下食の分類について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
嚥下(えんげ)食とは? その必要性と分類について
嚥下食ピラミッドの概要と各レベルの分類・詳細
嚥下食の分類まとめ|学会基準と実務での活用

形状・食感・口腔内での操作の違い

ミキサー食とムース食はどちらもミキサーを使用しますが、完成後の形状や口腔内での操作には違いがあります。

  ミキサー食 ムース食
形状(見た目) ポタージュ状を目安とした流動性のある形状 スプーンですくった形が保たれる固形状
食感(口に入れた時) 均質でなめらか。状態により小さな粒を含むことがある 舌で軽く押すと崩れ、まとまりやすい
口腔内での操作 食塊(しょくかい)形成をあまり必要とせず、送り込みが中心 舌と口蓋で押しつぶし、まとめる操作が必要

ミキサー食は、口腔内での操作をできるだけ少なくし、送り込みやすさに重きを置いた食事形態です。一方、ムース食は、舌と口蓋の間で押しつぶして食塊を形成する工程が加わるため、舌の可動域や保持力が一定保たれているかが目安となります。

どちらを選ぶ?ミキサー食とムース食の判断ポイント

ミキサー食とムース食は、飲み込みやすさだけで判断されるものではありません。口腔内に食べ物をまとめる力や舌の動きなどの状態に応じて、形態を選ぶことが重要です。

ミキサー食(コード2相当)が向いていると考えられるケース

●舌で押しつぶし、保持する操作がほとんどできない
●口腔内で食塊をまとめるのが困難
●食べ物が口の中で散らばりやすく、むせやすい

このような場合は、形を保つことよりも、口腔内での動き減らした状態に調整するミキサー食が適切です。

ムース食(コード3相当)が選択肢に入りやすいケース

●舌で押しつぶす操作ができる
●口腔内で食塊をある程度まとめられる
●食塊の形をある程度保ったまま、咽頭へ送り込むことができる

ムース食は、見た目や食感を工夫しやすいのが特徴ですが、口腔内での操作が難しい場合には控えるのが賢明です。

ミキサー食・ムース食の調理の基本と注意点

ミキサー食とムース食は、食べやすさと安全性を確保するために、食材の扱い方や調整方法を理解したうえで調理することが大切です。

共通ポイント:下準備と加熱

● 筋・皮・骨はあらかじめ除く:肉、魚、野菜など、加熱しても残りやすい筋、皮、骨は、下処理の段階で取り除きます。少量でも取り残しがあると、飲み込みにくさや違和感につながるため、注意が必要です。
●食材は十分に加熱する:下処理が済んだ肉、魚、野菜などは、口腔内で無理なくまとめられるやわらかさになるまで加熱します。調理済みのものを使用する場合は、温めてやわらかさを調整してからミキサーにかけます。加熱が不十分だと、撹拌(かくはん)した後も繊維やかたさが残り、口腔内でまとめにくくなることがあります。

なお、食材には向き不向きがあります。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【ミキサーを使った嚥下食】初めてでも大丈夫!作り方・食材の選び方・コツまとめ
ミキサー食とは?作り方のポイントや注意点を解説

ミキサー食の調理ポイント

●水分量の調整:ミキサー食は、スプーンですくえるなめらかさが基本です。出汁、スープ、煮汁などを使い、均一に撹拌できる水分量になるまで調整します。水分が少ないとまとまりにくく、逆に多いと流れやすくなるため、調整には注意が必要です。
●粒・ざらつきの確認:撹拌後は粒やざらつきが残っていないかを確認し、必要に応じて裏ごしを行い、舌触りを整えます。
●食材ごとの特徴に配慮:芋類やかぼちゃは粘度が高くなりやすく、白身魚や鶏肉は水分が不足しやすい傾向があります。食材の性質に合わせて、水分や油脂を適宜調整します。

ムース食の調理のポイント

●ミキサー後に成形工程を加える:ムース食は、ミキサーでなめらかにした後、ゲル化剤やとろみ調整食品を用いて形を保たせます。スプーンですくうと形が崩れ、口に入れるとやさしくほどける状態が目安です。
●やわらかさと保形性の両立:やわらかすぎるとミキサー食に近づき、かたすぎると口の中で崩れにくくなります。使用量や冷却時間を調整し、状態を確認しながら仕上げます。
●見た目への配慮:ムース食は成形が可能なため、元の料理を再現しやすいのが特徴です。彩りや盛り付けを工夫することで、「何の料理か」が一目で伝わりやすくなります。

調理後の確認ポイント

調理後は、スプーンですくった時に形状が安定しているかを確認します。口腔内に入れた際に食塊としてまとまりやすく、飲み込む時に過度な力を入れていないか、または口腔内に残りにくい状態であるかを観察します。実際に摂取する場面をふまえたうえで、状態に応じて再調整します。

嚥下食の特徴や作り方は以下の記事も参考にしてください。
見た目にもおいしい!ミキサー食の盛り付け例を紹介!
ミキサー食の人気おすすめレシピ!家庭・施設で簡単に作れる肉・魚・野菜・デザートをご紹介
手作りできる嚥下食献立|家庭でもできる段階別工夫と調理のヒント

ミキサー食からムース食へ切り替える目安

食形態の変更は、医師や言語聴覚士など専門職の評価をもとに判断します。切り替えを検討する場合は、以下の様子を総合的に確認することが必要です。

●食事時間や摂取量が安定している
●口腔内に食べ物が残らず、食後の負担が少ない
●発熱や呼吸、排痰量、体重など全身状態に問題がない

これらの様子が確認できた場合は、まず1品だけをムース食に置き換えます。様子を見ながら量や回数を少しずつ増やしましょう。判断が難しい場合は、無理に切り替えず、現状の形態を維持しながら、必要に応じて嚥下検査を検討します。

より詳しい考え方や注意点については、「嚥下食の形態とは?コードの位置づけや変更する際の目安・注意点を解説」をご覧ください。

【まとめ】ミキサー食とムース食の違いを理解して選択につなげる

ミキサー食とムース食は、どちらも嚥下に配慮した食事形態ですが、作り方や想定される口腔内での動きには違いがあります。

状態に合わせて形態を選ぶことが基本であり、必要に応じて切り替えを検討することも選択肢となります。判断に迷う場合は、無理に形態を変更せず、現在の状態で食べやすい形を維持することも重要です。

ミキサー食とムース食の違いを理解したうえで、利用者の状態に合った食事形態を選ぶことが、嚥下食を続けていくための支えになります。

※記事掲載のイラスト・写真はすべてイメージです。

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この記事の監修

栄養士

下口 貴正

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。

【参考文献】
日本摂食嚥下リハビリテーション学会|嚥下調整食分類 2021
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