2026 01 . 28
介護の基礎知識ミキサー食とソフト食の違いとは? 特徴・調理のポイント・選び方までわかりやすく解説
ミキサー食とソフト食の違いや特徴、必要な状態、調理や確認のポイントを整理して解説します。口腔内での食塊のまとめやすさや飲み込みやすさを基準に、段階的に形態を選ぶ方法を紹介します。

嚥下食には、ミキサー食やソフト食、ムース食などさまざまな名称がありますが、名称だけでは、その食事の形態や口当たり、喉越しの違いが判別しづらく、調理方法や選び方に迷うケースがあります。
本記事では、ミキサー食とソフト食の違いや特徴を、食品の性状や口の中でのまとまりやすさなどの違いを軸に整理し、調理や確認のポイント、形態を選ぶ際の考え方まで解説します。
目次index
ミキサー食とは?
ミキサー食とは、食品を撹拌(かくはん)してスプーンで食べられる状態に仕上げた食事です。一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会が提唱する「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(以下、学会分類2021)に基づき、ミキサー食はコード2(嚥下調整食2)に分類されます。
そしゃくを必要としない一方で、口腔内に入れた食べ物を広げず、咽頭(喉)に送り込む動作が前提となります。口腔内で食塊(しょくかい)がバラけにくく、咽頭を通るスピードが速くなりすぎないよう、性状が調整されているのが特徴です。
ミキサー食のメリット
ミキサー食には、噛む力や飲み込む力が低下した方でも食べやすいだけでなく、栄養や水分を効率的に摂取できるというメリットがあります。
詳しい分類については、次の記事を参考にしてください。
「嚥下(えんげ)食 とは? その必要性と分類について」
「嚥下食の分類まとめ|学会基準と実務での活用」
コード2の分類
コード2は、粒の有無で「2‑1(均質)」と「2‑2(不均質)」に分類されます。どちらもベタつきが少なく、スプーンですくって食べられるペースト状です。
●2‑1(均質):粒がなく均一でなめらかな状態
例:重湯や粥をミキサーにかけたペースト
●2‑2(不均質):やわらかい粒を少量含む状態
例:粒が少し残るミキサー粥
詳しい特徴や作り方は以下の記事を参考にしてください。
「嚥下調整食2(コード2)とは? 2-1/2-2の違い・献立の考え方・形態調整のポイント」
「ミキサー食とペースト食の違いとは? 特徴・作り方・用途のポイント」
ミキサー食(コード2相当)が必要な状態
ミキサー食の準備が必要な目安としては、次のような方が該当します。
●舌で押す、保持する操作がほとんどできない方
●口腔内で食塊をまとめるのが困難な方
●食べ物が口の中で散らばりやすく、むせやすい方
ミキサー食の注意点
ミキサー食は、噛む力や飲み込む力が低下している方でも口腔内でまとめやすく、飲み込みやすくした形態です。ただし、提供する際には、以下の点に注意が必要です。
●水分やとろみの加減が適切でないと、飲み込みにくくなる
●水分が多すぎると、食べた感覚や栄養の密度が下がり、満足感や栄養補給に影響する
●盛り付けや形の変化が少なく、食事の視覚的な楽しみや満足感が低下する
とろみの調整や栄養を補う工夫については、「【ミキサーを使った嚥下食】初めてでも大丈夫!作り方・食材の選び方・コツまとめ」も参考にしてください。
ソフト食とは?

ソフト食とは、舌と口蓋(こうがい)で押しつぶせるやわらかさに仕上げた食事です。料理の形がある程度保たれ、口腔内でまとめやすく、咽頭を通る際も崩れにくいのが特徴であり、学会分類2021では、コード3(嚥下調整食3)に分類されます。
ソフト食のメリット
ソフト食のメリットは、そしゃくの負担が軽減され食べやすい点や、見た目や食感を残せるため、食事の楽しみが維持できる点です。
食品例としては、五分粥や全粥、つなぎを工夫したやわらかいハンバーグの煮込み、あんをかけた野菜のやわらかい煮物、やわらかく仕上げた卵料理があります。
より詳しい特徴や食事例については以下の記事を参考にしてください。
「嚥下食3(コード3)とは?嚥下調整食の分類と食事例&調理ポイント」
また、ムース食もその性状によってコード3に該当します。
ムース食も知りたい方は「ムース食とは?作り方のポイントや注意点を解説」をご覧ください。
ソフト食(コード3相当)が必要な状態
ソフト食は、食べ物を押しつぶして再び咽頭へまとめて送り込む力がある方を想定した食事形態です。具体的には、次のような方を目安としています。
●噛む力や飲み込む力が低下してきている方
●かたいものが食べにくくなっている方
●口腔内で食べ物がまとまりにくく、残りやすい方
ソフト食の注意点
ソフト食を食べやすくするためには、やわらかさや水分量、食材の大きさの調整が重要です。以下に注意点の詳細をまとめています。
●食材の大きさやかたさが合わないと、口腔内でまとめにくくなる
●見た目はやわらかくても内部がかたい場合は、口腔内でまとめにくくなる
そのような場合は、食材をミキサーなどで軽く撹拌し、とろみ剤などを用い、口腔内でまとめやすくする
●食感を残す場合は、見た目や味わいの楽しさにつながる一方、咽頭を通りやすい状態であるかを確認し、バランスも意識する
より詳しく知りたい方は「【嚥下食コード3対応】家庭でもできる!やさしく食べられるレシピと調理のコツと注意点」を参考にしてください。
ミキサー食・ソフト食の調理の基本と注意点
ミキサー食とソフト食は、口腔内や咽頭で摂取しやすい状態に整えることが重要です。食材の下準備や加熱、形状の調整など、食べやすさに配慮した調理を行います。
共通の調理ポイント:下準備と加熱
●筋・皮・骨の除去:肉、魚、野菜など、加熱しても残りやすい筋、皮、骨は、下処理の段階で取り除きます。
●十分に加熱する:下処理をした食材は、口腔内で扱いやすいやわらかさになるまで加熱します。調理済みのものを使う場合は、加熱してやわらかさを整えてからミキサーやきざみ工程に移ります。加熱が不十分だと、口の中で食塊をまとめにくくなることがあるため、注意が必要です。
なお、食材には向き不向きがあります。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
「ミキサー食とは?作り方のポイントや注意点を解説」
ミキサー食の調理ポイント
ミキサー食では、スプーンですくえるなめらかさになるよう、水分量を出汁やスープで調整します。撹拌後は粒やざらつきが残っていないか確認し、必要に応じて裏ごしを行います。
詳しい作り方やポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
「【ミキサーを使った嚥下食】初めてでも大丈夫!作り方・食材の選び方・コツまとめ」
「ミキサー食とムース食の違いとは? 嚥下状態に合わせた選び方や調理方法をわかりやすく解説」
ソフト食の調理ポイント
●食材の大きさとやわらかさの調整:舌と口蓋で押しつぶせるやわらかさに調整します。かたすぎる食材は口腔内でまとめにくくなるため注意が必要です。
●きざむ・一口大にする場合の注意:きざんだり、一口大にした食材にあんをかけるだけでは、ソフト食(コード3)になりません。元の食材が十分やわらかく、「舌と口蓋(こうがい)で押しつぶせる」かたさであることを確認します。
●口腔内でまとまりやすい形に:食材が口腔内でバラけないよう、水分量や煮込み時間を工夫します。
●食感や見た目の工夫:食材の形をある程度残すことで、視覚的な楽しみと満足感を両立できます。
きざみ食の注意点については「きざみ食のリスクと課題 続けるべきか廃止すべきか」も参考にしてください。
調理後の共通確認ポイント
ミキサー食・ソフト食ともに、調理後はスプーンですくったときの形状や口腔内のまとまりを確認します。必要に応じて、水分量やかたさ、大きさを調整し、食べやすい状態に仕上げます。
嚥下食の特徴や作り方は以下の記事も参考にしてください。
「見た目にもおいしい!ミキサー食の盛り付け例を紹介!」
「ミキサー食の人気おすすめレシピ!家庭・施設で簡単に作れる肉・魚・野菜・デザートをご紹介」
「手作りできる嚥下食献立|家庭でもできる段階別工夫と調理のヒント」
ミキサー食からソフト食へ移行できる目安

食形態の変更は、次のような様子が見られる場合に検討します。
●食事時間や摂取量が安定している
●口腔内に食べ物が残らず、食後の負担が少ない
●発熱の有無や呼吸、排痰量、体重など全身状態に問題がない
形態を変更する際は、口腔内での動きや全身の状態に注意しながら段階的に進めることが不可欠です。まずは1品だけをソフト食に置き換え、様子を見ながら量や回数を徐々に増やします。
食形態を変える際は、医師や言語聴覚士と相談したうえで、段階的に進めましょう。
具体的な考え方や注意点については、「嚥下食の形態とは? コードの位置づけや変更する際の目安・注意点を解説」をご覧ください。
【まとめ】ミキサー食とソフト食の違いを理解して食べやすい形態を選ぼう
ミキサー食は、食材を撹拌してスプーンですくえる状態にした食事で、口腔内で食塊をまとめる力が十分でない場合に想定される形態です。水分やとろみを調整して、飲み込みやすい性状に仕上げます。
一方、ソフト食は食材の形をある程度残し、舌と口蓋で押しつぶせるやわらかさに調整した食事です。噛む力や飲み込み力がやや低下した場合でも、口腔内で扱いやすくなるよう食材のかたさや大きさを工夫します。
食形態の変更は、食べやすさや全身状態を確認しながら段階的に進めることが重要です。ミキサー食とソフト食の違いを理解したうえで形態を選びましょう。
※記事掲載のイラスト・写真はすべてイメージです。
この記事の監修
栄養士
下口 貴正
長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。
長崎・福岡の病院厨房MG、本社勤務を経て、中四国エリア事業部長東海支店部長、京都支店長を歴任。
2013年よりベネッセパレット設立準備室へ異動し現在製造本部責任者として介護食・配食の製造に従事する。